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だれにも戦争協力拒否権がある~名古屋高裁の空自イラク派遣「違憲」判断に思うこと

 自衛隊のイラク派遣をめぐって名古屋高裁が17日、航空自衛隊派遣部隊の活動が憲法違反とイラク復興支援特別措置法違反にあたるとの判断を示しました。裁判の結論としては、原告が求めた派遣差し止めと損害賠償のいずれも再び退けられ、国の勝訴ですが、そのことで国には上告の理由がなくなり、違憲判断を含んだ今回の判決は確定する見通しのようです。
 詳しい判断の内容は、18日付朝刊の新聞各紙におそらく掲載される判決理由の要旨を参照してもらいたいと思います。ネット上では「NPJ(News for the People in Japan)」にアップされています。
 今回の違憲判断が画期的なのか、それとも請求は退けている以上、言う必要のない余計な〝蛇足〟なのかは、人により受け止め方は異なるでしょう。わたし自身は、司法の役割をきちんと果たそうとする裁判官の誠意が読み取れる判決との感想を持っています。
 ここでは2点だけ書き記しておきますが、1点目は、航空自衛隊がバグダッドへ多国籍軍の人員・物資を空輸している活動について、判決がバグダッドを「戦闘地域」と認定し、空自の業務の不透明さを鋭く突いていることです。2年前に陸上自衛隊がイラクから撤収して以降、航空自衛隊はもっぱら米軍をはじめとする他国の軍隊の人員・物資をイラクに空輸しています。しかし日本政府はその活動内容の情報公開に極めて消極的です。空輸の回数、積み荷の総重量は公表していますが、武器弾薬の有無、武装兵士の有無については公式にはコメントしません。
 名古屋高裁での審理の経過を逐一承知しているわけではありませんが、一般論として民事訴訟は原告側が立証責任を負います。被告側から反論がなければ、原告側主張が正しいと判断することは自然です。日本政府が、積み荷の内容、武装兵士の有無を含めて情報公開しないことは、重要な後方支援として他国の武力行使と一体とみなされても仕方がない武装兵員の輸送に空自が従事していることをうかがわせる事情になりえると思います。逆に言えば、他国の武力行使とは一線を画した活動であるならば、積み荷の内訳、兵員の武装の有無を情報公開すればいいのです。
 分立している3権のうち、政府が主権者たる国民への情報公開を拒み、議会でもそれを許す議席が多数を占めている中で、残る司法が、それでいいのかと疑問を突き付けた判決。そういう風にわたしは見ています。
 2点目は、原告側の請求は退けながらも、平和的生存権の主張に対しては、単なる基本的精神や理念の表明にとどまらず、憲法の保障する基本的人権の基礎にある基底的権利との判断を明確に示していることです。前文や9条を始めとして日本国憲法は場合により、個々人の人権を守る具体的な根拠になりうる、ということです。判決は、今回の訴訟の原告はそうしたケースには該当しないと判断しました。では、どういったケースが該当するでしょうか。現にイラクに派遣されている自衛隊員たちこそ、その対象の最たる人たちだと思います。戦闘地域に行き、他国の軍隊の武力行使と一体とみなされる業務に従事する自衛隊員たちこそ、日本国民の一人として、憲法9条の名において戦争協力拒否権を行使できる。そう思います。
 この平和的生存権についての名古屋高裁判決の判断部分は読み応えがあり、繰り返し読みました。他のどんな仕事、産業であっても同じでしょう。現憲法がある限り、個人にもまた戦争協力拒否権(日本が戦争にかかわること自体が違憲なのはもちろんですが)は保障されている。わたしはそう思います。

追記(4月18日午前8時半)

 空自の空輸対象には、国連の復興支援物資も含まれており、エントリーで「もっぱら米軍をはじめとする他国の軍隊の人員・物資をイラクに空輸しています」としたのは、事実と異なりました。ただ、その内訳を政府が公式に明らかにしようとしないことには、変わりがありません。
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by news-worker2 | 2008-04-18 03:30 | 憲法