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〝落とし所〟は終わり、でもこれで終わりではない~ネット規制法案の与野党合意報道

 子どもの保護のためのインターネット規制法案をめぐって2日、衆院青少年問題特別委員会で与野党が基本合意したと伝えられています。3日の新聞朝刊各紙も一斉に報じました。共同通信の記事を一部引用します。
 インターネット上の有害情報から子どもを守るための法案化作業を進めている自民、公明、民主、共産の与野党4党による実務者協議は2日、有害情報の基準を策定したり判定したりする民間の第三者機関に国の関与を盛り込まないことで大筋合意した。
 ただ、有害サイトの閲覧を制限するフィルタリングのソフトウエアの普及啓発や調査研究などを行う民間団体は「総務省または経産省に登録することができる」とし、国のかかわりを一部残す形で決着した。
 各党は早急に党内調整を進め、法案の今国会中の成立を目指す。

 けさ(3日)、大手紙各紙の東京本社最終版で記事の扱いをチェックしてみました。
 【朝日】1面に本記3段(見出し、以下同じです)、政治面(6面)にサイド記事
 【毎日】1面に本記4段、総合面(2面)にサイド記事
 【読売】2面に本記2段
 【日経】経済面に本記5段、サイド記事3段、とはもの1段、図解
 【産経】1面に本記4段
 【東京】総合面(3面)に本記4段

 各紙とも①有害情報の基準づくりに国は関与せず民間にゆだねる②フィルタリング技術の向上に関しては民間団体の国への登録を認め、一部だが国の関与が残った―とし、サイド記事では、規制を実効あるものにするには民間の取り組みが焦点になるとして、民間や業界の動向を主に取り上げています。
 トーンとしては各紙ともおおむね、有害情報の基準づくりに国の関与が排除されることになった点を、「表現の自由」の観点からプラス評価しています。朝日や毎日が1面でかなり大きな扱いにしたことは、この問題はヤマを越えたと各紙が判断したことを反映していると言っていいのではないかと思います。
 わたし自身は、有害情報の基準を国(=公権力)が恣意的に策定する可能性が低くなったことには安堵していますが、ヤマを越えたのは「『子どもの保護』『青少年の健全育成』を大義名分にしたネット規制法案をめぐる国会での与野党協議」という枠の中だけだと考えています。今後もネットが絡んだ子ども間のいじめや、子どもが被害に遭う事件が起き、大きく報道されることになれば「やはりネット規制には政府の関与が必要だ」との主張が息を吹き返す余地は残っていると思います。これはマスメディア自身の問題でもあるでしょう。
 また、仮に穏当な内容でネット規制法が今国会で成立するとしても、そもそもフィルタリングは有害情報の遮断に万能ではないという意見もあれば、「官か民か」という二者択一ではなく、政府から独立した行政委員会で対応すべきとの考え方もあるでしょう。
 今回の「ネット規制法案の行方」という政治、経済報道の〝落とし所〟は3日の紙面で決着かもしれません。しかし、既存のマスメディアは今後も、「表現の自由」をどう守るのかを常に意識しながら、多面的な視点で多様な意見、考え方を社会に伝えていくことが必要だと考えています。
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by news-worker2 | 2008-06-04 01:12 | 表現の自由