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 麻生内閣が発足してわずか5日、中山成彬国土交通相が28日、辞任しました。「成田空港反対派は『ごね得』」「日本は単一民族」「日教組の強いところは学力が低い」の発言3点セットに始まり、27日は日教組攻撃発言をエスカレートさせ「日本の教育のがん」「解体しなきゃいかん」「ぶっ壊せ」とまで。28日の辞任後の記者会見では、日教組に関する一連の発言だけは撤回しなかったと伝えられています。
 わたしは、中山氏の一連の発言をひとくくりに「失言」ととらえることに違和感があります。少なくとも日教組攻撃は、中山氏自身が意図的に、確信を持って表現を強めていきました。その内容たるや、失言どころではなく「問題発言」「暴言」などの表現でも収まらないくらい、多々問題を含んでいると思います。
 日教組(日本教職員組合)とは何なのかと言えば、合法的に組織されている教職員の労働組合です。労働組合は直接的に憲法28条の労働3権の規定で、国民の権利として明記されています。また21条には結社の自由も明記されています。
 仮に特定の結社、団体、労組の活動に自分の考えと相反する内容があったとして、それを批判するのは基本的に自由だと思います。それもまた表現の自由ですし、批判には反論で答え、そうやって言論の自由が社会に担保されることになります。しかし、自分の考えと相容れないからといって、相手の存在を認めないことは許されるはずもないことです。それでは民主主義は成り立ちません。
 中山氏の「日教組は解体が必要」「ぶっ壊す」などの数々の発言は、閣僚としてはもちろんのこと、国会議員として明らかに憲法遵守義務の一線を越えています。「失言」で済むレベルではなく、憲法、立憲政治に直接かかわる問題だと思います。深刻なのは、中山氏自身に、憲法をないがしろにし、民主主義を危うくする内容であることの自覚が全くうかがえないことです。自分で自分が何を言っているのか、その意味がよく分かっていないとしか思えません。

*追記(9月28日17時55分)
 時事通信が辞任後の中山氏の記者会見の一問一答をアップしました。記録の意味で、日教組攻撃発言にかかわる部分を一部引用します。
 -日教組発言を撤回しないと言ったが。
 政治家中山成彬としては撤回したという考えはない。
 -日教組に対する認識は。
 問題はごく一部の過激な分子。日教組の中にもまじめに授業に取り組んでいる先生もいるが、政治的に子どもたちを駄目にして日本を駄目にしようという闘争方針で活動している方々がいる。それが日本を駄目にしている。
(中略)
 -なぜそこまでこだわったのか。
 それほど重要な問題。なぜこんなゆがんだ教育が行われているかについて関心を引きたかった。(報道各社インタビューで)国交相の仕事は何かと質問を受け、安心安全に暮らせる日本をバトンタッチするんだと答えているうちに、そこに住む日本人をちゃんと育てないといけないという気持ちがますます強くなった。
 -日教組の問題を言って良かったか。
 もちろん良かったと思う。
 -大分の人たちはどう感じたと思うか。
 大分県を名指しで言ったのは申し訳ない。
 -昨日、宮崎でなぜああいう(日教組批判の)発言を。
 確信的にあえて申し上げた。

 「問題はごく一部の過激な分子」と言いながら、なぜ「まじめに授業に取り組んでいる先生もいる」組合を組織丸ごと解体し、ぶっ壊さなければならないのでしょうか。
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by news-worker2 | 2008-09-28 16:14 | 憲法
 毎日新聞の27日付朝刊(東京本社発行、最終版)に訂正とおわびの2つの記事が掲載されました。一つは小泉元首相の引退表明をめぐる飯島勲元秘書官のコメントの引用についての訂正。もう一つは英文サイト「毎日デイリーニューズ」のコラム「WaiWai」問題で、毎日側が記事を無断で利用、翻訳していた出版社、新聞社が32社に上っていたことの新たなおわび(サイトにもアップされています)です。2つの問題自体は異なる事柄ですが、新聞社のジャーナリズムの在り方からは、必ずしも相互に無関係ではないように思えます。
 飯島元秘書官の発言の引用を訂正した記事は、26日付朝刊の政治面(5面)に「存在感 神通力薄れ」「『支持』小池氏も総裁選惨敗」などの見出しとともに記者の署名入りで掲載されました。背景事情として、小泉元首相の政治的影響力が弱まっていたことを指摘する内容のいわゆる「サイド記事」です。関係部分を引用します。
 「小泉氏は(サプライズを生む)魔法のつえをなくしてしまった。次期衆院選で小泉氏が応援しても小泉チルドレンは負けるだろう」
 長く秘書として仕えた飯島勲元首相秘書官は、引退の報を聞くと周辺にこう語った。

 この記事について27日付朝刊の同じく5面に、発言していない言葉が掲載されたとして、飯島氏が毎日新聞社社長、政治部長、記者の3人を名誉棄損、信用棄損、業務妨害の疑いで警視庁に告訴状を提出したことを伝える記事とともに、「訂正」を掲載しています。引用します。
 26日朝刊で、小泉純一郎元首相の飯島勲元秘書官の話として「小泉氏は(サプライズを生む)魔法のつえをなくしてしまった。次期衆院選で小泉氏が応援しても小泉チルドレンが負けるだろう」とあるのは、飯島氏の数日前の話を誤って形で引用したものでした。飯島氏は、小泉元首相引退の報を聞いてこのようなコメントはしていません。この部分を取り消します。

 毎日新聞の訂正記事では、数日前ではあるものの発言自体はあったことになります。しかし、なぜ時期を間違えてしまったのかは定かではありません。気になるのは、発言自体の有無(時期はともかくとして)についての飯島氏の主張は、他の報道によれば必ずしも毎日新聞の説明と一致しないことです。例えば共同通信の記事では「飯島氏は『毎日新聞から(取材の)電話も受けていない。捏造だ』と発言を否定。週明けに損害賠償を請求する訴訟も起こすとしている。」とあります。
 発言は確かにあったが時期を間違えて引用してしまったのか、それとも発言自体が存在していないのか。後者だったとすると、次には毎日新聞が記事で「周辺にこう語った」と記述している「周辺」など毎日新聞の情報源の信ぴょう性が問題になります。飯島氏に対する毎日新聞記者の直接取材はなかったと推察されることも含めて、毎日新聞記者の取材は妥当だったのか、という問題です。
 毎日新聞本紙の取材と記事の掲載のありようという問題は、もう一つのおわび記事のWaiWai問題にも関係してくるのではないかと思います。
 毎日新聞はことし7月20日付朝刊に、WaiWai問題の検証記事を掲載しました(サイトにもアップされています)。その中には次のようなくだりがあります。
 毎日新聞本紙では、記者が書いた原稿はデスクが目を通し、事実関係や表現について筆者に細かく確認を取ったうえで出稿される。さらに、紙面に掲載されるまでには、記事の扱いや見出しを決める部署や校閲部門、当日の編集責任者など何重ものチェックを経る。しかし、「WaiWai」ではこうした綿密なチェックは行われていなかった。原典の雑誌記事との照合も行われず、ほとんどが外国人スタッフの間で完結していた。

 WaiWaiの不適切な記事とは異なり「何重ものチェック」を経ていた本紙の記事で、なぜ今回のような誤報が起きたのかは、つまるところWaiWai問題の再発防止策にも密接にかかわってくる、と言えるのではないでしょうか。毎日新聞社には、WaiWai問題でみせたように、飯島氏の発言引用問題でも誤報の経緯を検証し、読者に説明する真摯な対応を期待しています。

 WaiWai問題は何度かこのブログでも取り上げてきました。過去エントリをまとめておきます。(新着順)。
 外国人記者の「働かされ方」に問題はなかったか~毎日WaiWai問題検証で考えること
 ひとこと:英文毎日コラム問題で毎日新聞が内部調査結果を掲載
 ひとこと:英文毎日問題で7月中旬に調査結果公表
 趣の異なる新聞不祥事~英文毎日の不適切コラム問題
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by news-worker2 | 2008-09-28 02:59 | 新聞・マスメディア
 きのう(25日)は前日の麻生太郎内閣の発足に続いて、米原子力空母ジョージ・ワシントンの横須賀入港など大きなニュースがありました。そして夜になって、小泉純一郎元首相が衆院議員引退の意向を後援会に伝えた、とのニュースが飛び込んできました。
 5年間にわたった小泉政治には様々な側面があります。構造改革、郵政民営化、格差社会。ハンセン病問題の決着、対米協調外交と在日米軍再編、イラク戦争支持と自衛隊のイラク派遣、靖国神社参拝と対中国関係の悪化、訪朝・拉致問題などなど。ワンワード・ポリティクス、小泉劇場、小泉チルドレンなどのキーワードもありました。5年間の功罪の評価は人それぞれだと思います。
 わたし自身の自分史を重ね合わせて振り返ると、小泉政権が誕生した2001年、わたしは当時所属していた単組(単位組合)で最初の労働組合専従を初めて経験しました。になりました。執行部経験としては2度目でした。1年後に復職し、さらに2年を置いた2004年、2回目の専従として新聞労連委員長を2年間務めました。再び復職した2006年に、小泉政権も安倍晋三政権に替わりました。小泉政治の5年間を、わたし自身は労働運動に身を置きながら過ごしたと言っていいと思います。
 いくつか忘れることができない個人的な内面の思いがあります。一つは2005年の郵政民営化選挙で、小泉首相(当時)が言い放った「労働組合は抵抗勢力」という言葉です。自分と異なった意見は認めない政治姿勢だと感じました。しかし、それゆえに明瞭で歯切れのよさが際立つ物言いでもあったのかもしれません。選挙の結果は自民党の大勝。一方的にマイナスイメージのレッテルを張られながら、しかし労働運動の側の反論も何も社会に届かなかった、そんなやるせなく切ない心情を何ともしようがありませんでした。
 労働組合が「権利」を口にするとき、外部の人たちがイメージしていたのは「既得権益」だったのだと思います。そうではなく、労働組合をそれ自体「権利」として輝かせるためには、まずすべての働く人たちが、正社員であろうと非正規雇用であろうと、等しくその「権利」を手にできるようにしなければならないと考えました。そのために、日常の運動の質が問われていると感じました。
 小泉元首相の憲法観には、何度か心底怒りを覚えました。2003年12月、自衛隊をイラクに派遣することを決めるに当たって、小泉首相(当時)は憲法の前文の一部だけを引用しました。自民党内にも批判があった靖国神社参拝に際しては、内心の自由を持ち出し、政教分離に抵触しないと強弁しました。日本国憲法を総体として読めば、およそそのような解釈など不可能なはずでした。それでいて、改憲には熱意がないように見えましたが、今から思えば、だからこそ特異な憲法観が政治的な失点につながらなかったのかもしれないと思います。
 5年間の小泉政治がわたしたちの社会に何を残したのか、その評価が定まるにはまだ時間がかかるのかもしれません。明日(26日)の朝刊各紙はそれぞれに小泉政治の功罪を様々な角度から検証し、論じていることでしょう。なるべくじっくり読み比べてみようと思います。

*追記(9月26日午前11時半)
 誤読の恐れのある表現を一部手直ししました。
 タイトルを「小泉元首相が引退へ」から変えました。
 
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by news-worker2 | 2008-09-26 03:27 | 労働運動
 少し時間がたってしまいましたが、新聞ジャーナリズムをめぐって前例を思い起こすことができないくらい異例で、なおかつ社会の表現の自由を考える上でも重要な問題だと考えていることですので、記録に残す意味も含めて、このエントリを書くことにしました。
 小泉純一郎首相の元で郵政民営化が最大争点になった2005年9月の衆院選の投開票日前日に、東京都内の警視庁職員官舎の集合郵便ポストに共産党の機関紙「しんぶん赤旗」を配布していた厚生労働省の元課長補佐が、住居侵入の現行犯で逮捕されました。住居侵入容疑については不起訴でしたが、国家公務員の政治的行為の制限を定めた国家公務員法に違反するとして、国家公務員法違反罪で起訴されました。東京地裁は9月19日、求刑通り罰金10万円の判決を言い渡しました。
 前例のないほど異例、というのはこの判決の翌20日付け朝刊の新聞各紙の報道ぶりです。東京都内の最終版を調べた限りでは、次のようでした。

【朝日】本記・第2社会面3段見出し
      「元厚労省職員に罰金刑」「東京地裁 赤旗の配布『政治的』」
    被告の記者会見・第2社会面2段見出し
      「『私生活なのに』元職員」
    社説
      「政党紙配布 公務員への刑罰どこまで」
【毎日】本記・社会面準トップ4段見出し
      「元厚労課長補佐 有罪」「赤旗配布に罰金10万円」「東京地裁判決」
    解説・社会面3段見出し
      「34年前の判例 またも踏襲」
    被告側の記者会見・社会面1段見出し
      「『事実見てない』『中味薄っぺら』」「被告ら会見」
【読売】記事の掲載なし
【日経】本記・第2社会面1段見出し(全文12行)
      「官舎に『赤旗』配布で有罪判決」「元厚労省課長補佐」
【産経】本記・第3社会面2段見出し
      「警察官舎に『赤旗』配布」「元厚労省職員に有罪」
【東京】本記・社会面準トップ4段見出し
      「公務員の赤旗配布罰金刑」「東京地裁『政治的な偏向強い』」
    解説・社会面3段見出し
      「最高裁判例ひたすら踏襲」
    被告側が記者会見・社会面1段見出し
      「『司法の職責投げ出した』」「被告が判決批判」

 一面に据えた新聞はないものの、朝日、毎日、東京の3紙は重要なニュースと判断していることがうかがわれ、主要な要素を盛り込んだ本記のほかに、被告側の「不当な判決」との主張を取り上げた記者会見記事などを掲載しました。毎日、東京は署名の解説記事も掲載。朝日は社説で取り上げ、「果たして刑罰を科すほどのことなのか」と判決に疑問を呈しています。
 対して読売が関係記事を掲載しなかったことが目を引きます。いわゆる「ボツ」です。ニュースとして取り上げるまでもない、ごく当たり前の司法判断、ということなのでしょうか。日経もいわゆる「ベタ」でごく短い記事。産経もごくあっさりした記事です。
 一つのニュースをめぐって、新聞の間で扱いの大きさが分かれることは珍しいことではありません。しかし、今回のように憲法上の争点があった判決をめぐって、社説で取り上げる新聞がある一方で、一行も掲載しない新聞もあるというのは、少なくともわたし自身は前例を思い起こすことができません。同じテーマでも新聞各紙を読み比べ、論調の違い(それは「多様な考え方」ということですが)を知ることで、ニュースの理解は深まります。多様な考え方、価値観が社会に担保されることにもなり、わたしは多種多様の新聞が並び立つこと自体に意義があると考えています。その意味では、今回の読売も、記事を掲載しないこと自体がひとつの価値判断のありようなのかもしれませんが、「それにしても」との思いを禁じえません。
 
 有罪判決の根拠法令である国家公務員法102条は次のように「国家公務員の政治的行為の制限」を規定しています。
第102条 職員は、政党又は政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法を以てするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除く外、人事院規則で定める政治的行為をしてはならない。
 2 職員は、公選による公職の候補者となることができない。
 3 職員は、政党その他の政治的団体の役員、政治的顧問、その他これらと同様な役割をもつ構成員となることができない。

 さらに人事院規則14-7では、「政治的行為」の一つとして第6項7号で「政党その他の政治的団体の機関紙たる新聞その他の刊行物を発行し、編集し、配布し又はこれらの行為を援助すること。」とあり、また第4項では「法又は規則によって禁止又は制限される職員の政治的行為は(中略)職員が勤務時間外において行う場合においても、適用される」としています。
 被告・弁護側は、赤旗を配布したのは休日で、しかも公務員とは外見的には分からない格好だったとして、無罪を主張していたと伝えられています。日本国憲法は国民の基本的人権として、21条で集会・結社・表現の自由を定めており、公務員も例外ではありません。公務員は社会全体への奉仕者であり、政治的中立性が必要であるにせよ、国家公務員法が公務員の政治的行為を禁止・制限するのは、憲法上の基本的人権との兼ね合いから必要最小限に限るべきでしょう。同じ「勤務時間外」にしても、職場で休憩時間中に政党機関紙を来庁者に配布するようなケースなら、公務員の政治的中立性を疑わせる行為かもしれません。しかし、外見的に公務員とは分からない、つまり公務員の中立性が疑われるわけではないのに刑事罰を科することは、実質的な意味として公務員に限っては一個人としての思想を処罰することにつながりかねず、表現の自由はおろか、思想、良心の自由をすら侵害することになりかねない―。被告・弁護側の無罪主張には、このような危ぐが込められているとわたしは理解しています。
 こうした争点に、今回の東京地裁判決はどこまで踏み込んで判断を示したか。朝日が社説で、毎日や東京が解説で判決に疑問を呈しているのはまさにこの点ですし、被告・弁護側の記者会見記事で判決への批判を紹介しているのも、この事件では「表現の自由」が最大の争点になっていることを重視しての判断からでしょう。新聞はそれ自体、社会に「表現の自由」が担保されていなければ成り立ちえませんし、だからこそ「表現の自由」を守るのが社会的責務でもあると思います。わたしも今回の判決は、新聞にとって重要ニュースとして取り上げるのに足る問題だと考えています。
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by news-worker2 | 2008-09-24 07:29 | 表現の自由
d0140015_0151071.jpg 以前のエントリ「『戦争はいらぬ、やれぬ』~朝日新聞むのたけじさんインタビュー記事」で紹介した元朝日新聞記者でジャーナリストむのたけじさんの一問一答式の聞き書きが岩波新書で刊行されました。聞き手の黒岩さんは、むのさんより43歳年下のノンフィクション・ライター。本書の「まえがきにかえて」によると、1997年に初めてインタビューして以来の交友関係で、むのさんが以前、岩波新書を一冊書くと約束したまま果たせないでいることを知り、聞き書きの形を提案。本書の刊行となりました。
 敗戦から63年がたった今、あの戦争を新聞記者として体験し、戦後は戦争反対を貫いてきたむのさんの本書には、多くの価値があると思います。中でも第2章の「従軍記者としての戦争体験」は、インドネシアに従軍記者として派遣された際に見聞きしたことの証言であり、戦争の実相の記録としても貴重だと思います。ここでむのさんは次のように述べています。
 インドネシアでのいろいろな出来事は、『たいまつ十六年』に書いていますが、今回は、これまで本でも、講演でもあまり言わなかったことを話しましょう。それは、本当の戦争とはどういうものか、ということです。


(続きます)
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by news-worker2 | 2008-09-22 00:30 | 読書
 エントリ「読書:『戦争絶滅へ、人間復活へ―九三歳、ジャーナリストの発言』(むのたけじ 聞き手黒岩比佐子、岩波新書)」に関連した参考情報です。

▽「沖縄戦新聞」
琉球新報ホームページの紹介文より引用
本紙記者が沖縄戦当時にさかのぼり、当時の報道を検証し、新たな事実、貴重な証言などを加味しながら、60年後に再構成した新聞です。言論統制の戦時下では伝えられなかった沖縄戦の全体像を現在の視点で報道しています。

▽ヒロシマ新聞
 むのさんの対談でも触れられていますが、「沖縄戦新聞」に先立つものとして、戦後50年の1995年に広島の中国新聞労働組合が制作した「ヒロシマ新聞」があります。原爆で発行できなかった1945年8月7日付けの紙面を50年後に発行する、との取り組みで、10年後の2005年にはWeb化されました。
 ヒロシマ新聞サイト

▽しんけん平和新聞
 ヒロシマ新聞、沖縄戦新聞に続く取り組みとして、新聞労連は2005年8月に「しんけん平和新聞」創刊号を発行しました。以後、毎年1回、労連の新聞研究活動として発行を続け、ことしは第4号を制作しています。
 新聞労連ホームページの紹介記事

 創刊号、第2号(2006年5月)は、わたしも制作に参加しました。旧ブログ「ニュース・ワーカー」の関連エントリも読んでいただけたら幸いです。
 「しんけん平和新聞」
 「しんけん平和新聞第2号」
 
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by news-worker2 | 2008-09-22 00:04 | 新聞・マスメディア
 上司から聞いて知ったのですが、長野県警が9月からホームページに「ニュース24時」というコーナーを作りました。広報資料として発表した事件事故情報を、独自に一般向けのニュースとして発信しています。平日に1日2回、午前11時と午後4時に更新しています。
 ホームページトップの左上長野県警ニュース24時のバナーをクリックすると、ページに飛びます。
 9月19日のニュースでは、例えばこんな感じです。
無免許運転の男を逮捕(長野南署)
 本日午前10時10分ころ、長野市篠ノ井塩崎地籍において、普通貨物自動車を無免許で運転していた派遣社員の男50歳を交通取締り中の警察官が発見し、道路交通法違反で現行犯逮捕しました。

 9月18日は死亡交通事故やコンビニ強盗の発生など5件、17日は振り込め詐欺対策会議など事件事故情報以外の行事も含めて、15件の〝ニュース〟を掲載しています。コンビニ強盗犯の公開捜査では、指名手配された容疑者の顔写真もアップしています。
 他の警察でも青森県警「事件・事故メモ」千葉県警「最新事件・事故ファイル」など類似の例がありますが、長野県警の場合は自ら「ニュース24時」と掲げているように、その速報性に正直、驚きました。ものによっては、県民の目に触れるのが新聞紙面よりも早いケースがあるかもしれません。新聞ではボツになっている情報もあるでしょう。
 指名手配の容疑者を「犯人」とする一方で、被害者や逮捕した容疑者など当事者は匿名になっているなど、新聞記事とは異なった警察独自の表記になっていますが、ネット社会でのこうした警察独自のニュース発信が、新聞や放送など既存のマスメディアの事件事故報道にどのような影響を与えるのか。少なくとも、報道が警察の発表丸写しにとどまっていては、読者からは一目瞭然です。わたし自身、事件事故報道の社会的な存在意義をあらためて考えているところですし、警察を担当する若い記者たちにも「プロの仕事とは何か」、ぜひ考えてほしいテーマです。
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by news-worker2 | 2008-09-21 09:39 | 新聞・マスメディア
 少し時間がたってしまいましたが、イラクへの自衛隊派遣をめぐって政府は9月11日、航空自衛隊の派遣部隊を年内にも撤収させる方針を正式に表明しました。それまでもマスメディアの報道などで伝えられていたことであり、撤収方針それ自体には大きな驚きはありませんでしたが、米英軍のイラク侵攻につながる2001年の米中枢同時テロからちょうど7年に当たる日、しかも自民党総裁選の真っ只中での正式表明には、わたしは現政権の意図的な思惑を感じずにはいられません。マスメディアの報道も一様に指摘していますが、名古屋高裁がことし4月17日、航空自衛隊の物資輸送活動を憲法9条違反などとする判断を示しました。そうしたこともあって、イラクへの自衛隊派遣継続を掲げていては自民党総裁選後に予想される衆院選に勝てない、と政権・与党が判断したと考えても、うがち過ぎではないだろうと思います。
 自衛隊の撤収自体には、わたしは個人的な考えとして異論はありません。問題は、派遣部隊の活動をめぐって、政府の具体的な情報開示が依然としてないことだと考えています。
 名古屋高裁判決は、自衛隊の空輸先に含まれているバグダッドが「戦闘地域」であること、その戦闘地域で戦闘に従事する武装兵員をも空輸していることを認定し、「違憲」判断を導きました。しかし、判決が確定して以降、今に至るまでも政府・防衛省は具体的にバグダッドへ何を運んだのか、情報開示をしていません。政府は様々なレベルで「違憲」への不快感を表明しましたが、本来ならば、情報を開示し是非を有権者の判断に委ねるのが民主主義のありようではないかと思います。3権分立の観点からみて、司法の指摘を行政が黙殺している現状で、では何が必要なのか。わたしは、その一つとして、自衛隊が実際に運んだもの、運んでいるものは何なのかを独自に検証して報道し、政府に情報公開を迫っていくジャーナリズムがあると思います。多大な困難はあろうとも、新聞をはじめマスメディアの組織ジャーナリズムがそれを成し遂げてこそ、権力の監視役に足りうるのだと思います。

 名古屋高裁判決の意味を広く社会に広めていこうと、訴訟の原告側弁護団が各地で報告会を開いていることを最近知りました。8月末現在で既に150回を超えたそうです。
 「自衛隊イラク派兵違憲判決~その後」(弁護団のホームページ)

 この取り組みを知って「訴訟は判決が確定したら終わり、ではない」ということに、あらためて気付かされました。訴訟を起こし、判決が出たらそれを社会に知らせてゆく、そのこと自体がひとつの「運動」なのだと思います。権力側の動向を情報として発信するのと同じように、そうした運動をも紹介していくこともマスメディアのジャーナリズムの責務だろうと考えています。

 イラクへの自衛隊派遣と名古屋高裁判決に関連したわたしの過去エントリを以下にまとめておきます(新着順です)。

近況:「軍事報道と表現の自由」の講義が終わりました
福島元判事の東京新聞インタビュー記事~憲法記念日と新聞、マスメディア
自衛隊イラク派遣の違憲判断が確定
名古屋高裁判決についての航空幕僚長発言に感じる危うさ
だれにも戦争協力拒否権がある~名古屋高裁の空自イラク派遣「違憲」判断に思うこと
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by news-worker2 | 2008-09-15 10:45 | 憲法
 本ブログの趣旨紹介欄の写真をわたしの顔写真にしました。実名で運営しているので、その方が自然かと考えるようになりました。とはいえ、身分証明書のようなものも避けたいと思い、手持ちの写真から選んだのは、4年前の2004年10月、新聞労連の委員長当時にスイス・ジュネーブの国際労働機関(ILO)本部を訪ねた際の1枚です。
 印刷・文化・メディアの産業分野で情報技術(IT)が労働・雇用に与える影響とその対策をテーマにした政労使(各国政府・労働側・使用者側)の3者協議に、日本の労働側代表の1人として参加しました。残念なことに、日本からは政府、使用者側の参加はありませんでしたが、各国の労働側代表との交流は貴重な経験でした。特に、知識としては知っていましたが、企業内組合を基本にしてきた日本と異なり、個人加盟の産業別組合を基本にしている海外の労働組合運動の実態に、ほんの一端とはいえ直に触れることができたことが、今も強く印象に残っています。

d0140015_148477.jpg 旧写真に対して「あれは一体何ですか」というお尋ねを時々いただきました。沖縄・那覇市のある店の名物「焼きてびち」です。「てびち」とは豚の足、いわゆる「豚足(とんそく)」です。沖縄でもこの店だけしかない料理のようです。詳しくは裏ブログの関連エントリをご覧いただければ幸いです。
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by news-worker2 | 2008-09-14 01:54 | 近況・雑事
 12日は午後から休暇を取り、船員の労働組合である全日本海員組合(海員組合)の通信員セミナーに講師として参加しました。依頼を受けたテーマは「新聞、雑誌の記事の書き方」。新聞記事の書き方のノウハウのうち、労働組合の機関紙の記事でも参考になりそうなことや、実体験に基づくわたしなりの機関紙論を約3時間にわたって話しました。終了後はセミナー参加者の交流会にも同席させてもらい、わたしにとっても有意義な話を何人もの方から聞かせてもらいました。
 海員組合には、労働組合として際立った特徴があります。日本の既存の労働組合が企業の社員ごとに組織される「企業内組合」であるのに対して、船員一人ひとりの個人加盟を原則としていることです。所属している船会社が異なっていても、「船員」「船乗り」という共通の職能で一つの組合にまとまっています。企業内組合が企業内の労使関係であるのに対して、海員組合は組合員が所属する船会社と個々に団体交渉をし、個々に労働協約を結ぶことになります。それぞれの会社と共通の労働協約を結べば、結果として海員組合に所属する船員は、どこの船に乗っていても一律の労働条件が担保されることになります。形式的にはいわゆる「単位組合(単組)」ということになりますが、実体としては、「船員」という職能の「産業別組合(産別組合)」です。
 これを新聞産業にあてはめて考えると、例えば「新聞記者」を職能と想定すれば、個人加盟の〝新聞記者組合〟がそれぞれの新聞社と共通の労働協約を結ぶことによって、どこの新聞社で働こうが、新聞記者組合の組合員である限り、一定の労働条件が担保されるということになります。セミナー終了後の交流会で「実は、わたしたちのような個人加盟の〝産別〟がもう一つあります。どこだか分かりますか」と聞かれました。答えはプロ野球選手会です。
 産業を問わず、日本の企業で契約社員や派遣社員などの非正規雇用が増大している中、伝統的に正社員で組織されてきた企業内組合による企業内の労使交渉には限界が目立つようになっていると、わたしは考えています。正社員であると、非正規雇用であるとを問わず、同じ産業で働く同じ職能の労働者ならだれでも加盟できる個人加盟の産別組合であれば、今の企業内組合ではできないような幅の広い取り組みも可能になるのではないか、と思います。

 新聞労連委員長だった当時に海員組合とはお付き合いがあり、今回と同じように記事の書き方の研修の講師を務めたこともありました。当時の縁で今回、声を掛けてもらいました。ありがとうございました。

 海員組合のホームページはこちらです。
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by news-worker2 | 2008-09-13 01:16 | 労働運動