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 自衛隊のイラク派遣をめぐり、航空自衛隊の物資空輸活動に違憲判断を示した4月17日の名古屋高裁判決が5月2日午前零時をもって確定しました。「違憲」「違法(イラク復興支援特別措置法にも違反する)」との判断が確定したのに、航空自衛隊の制服トップである航空幕僚長が記者会見で「そんなの関係ねえ」と発言したことに何ら、文民である防衛大臣からも、自衛隊の最高指揮官である首相からもおとがめはなく、自衛隊の派遣部隊の活動も昨日と同じように続いていく。そのことへのわたしの個人的な意見はさておいても、現状自体は、海外から見た時には異常に見えるのではないかと思えてなりません。
 今回の訴訟は、結論が請求の却下、棄却だとしても、「今回の原告」たちの請求が認められなかった、ということであり、別の立場の原告が提訴していれば、イラクでの航空自衛隊の活動が「違憲」「違法」だという判断を前提に、派遣の差し止めをめぐって突っ込んだ判断に移ったであろうと考えることに、さほど論理の飛躍はないと思います。だから、訴えを認容するかどうか、結論を下す前提として、自衛隊の活動が合憲、適法かどうかの判断は、原告の訴えに真摯に向き合おうとするならば、名古屋高裁の裁判官たちにとっては避けては通れない判断だったのだろうとわたしは考えています。
 今回の判決に寄せられている「傍論」「蛇足判決」「不当判決」などの批判について、わたしは同意はできなくてもその発想自体は理解できなくもありません。そんな中で、5月1日の朝日新聞朝刊に掲載された元判事で弁護士の福島重雄さんの「司法は堂々と憲法判断を」と題した文章に目が釘付けになりました。詳しくは朝日新聞の紙面(ネットでは見当たらないようです)を手に取って読んでほしいのですが、ここでは訴訟の原告でもあった天木直人さんのブログの記述を引用します。

(続きます)
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# by news-worker2 | 2008-05-02 00:53 | 憲法
d0140015_0193660.jpg 以前のエントリーで報告したシンポ「憲法25条・生存権とメディア」でのやり取りを聞いていて、堤未香さんの「ルポ 貧困大国アメリカ」を思い出しました。
 全5章にわたって、米国社会の貧困の問題を詳細にリポートし、それが米国一国の問題にとどまらないことが浮き彫りにされていきます。中でも、貧困の拡大がイラクで「戦争の民営化」を支えている、との指摘には大きな衝撃を受けました。ここでわたしの拙い表現で本書の内容を紹介することはやめて、プロローグの最後の部分を引用、紹介します。

 同じアメリカ国内で、貧しいために大学に行きたくても行けない、または卒業したものの学費ローンの返済に圧迫される若者たちや、健康保険がないために医者にかかれない人々、失業し生活苦から消費者金融に手を出した多重債務者、強化され続ける移民法を恐れる不法移民たち…こうした人たちが今、前述したフェルナンデス夫妻と同じように束の間の「夢を見せられ」、暴走した市場原理に引きずり込まれているのだ。(中略)
 そこに浮かび上がってくるのは、国境、人権、宗教、性別、年齢などあらゆるカテゴリーを超えて世界を二極化している格差構造と、それをむしろ糧として回り続けるマーケットの存在、私たちが今まで持っていた、国家単位の世界観を根底からひっくり返さなければ、いつのまにか一方的に呑み込まれていきかねない程の恐ろしい暴走型市場原理システムだ。
 そこでは「弱者」が食いものにされ、人間らしく生きるための生存権を奪われた挙げ句、使い捨てにされていく。(中略)「民営化された戦争」に商品として引きずり込まれていくという流れは、この本に出てくるさまざまな例を通して映し出されている。


 2003年3月にイラク戦争が始まって以後、イラク民衆の戦争被害のほかにも、わたし自身の関心はイラクで死んでいく若い米兵たちにもありました。彼らはこれまでどこでどんな時間、人生を送り、何を思い軍に志願し、どういう経緯でイラクに送られたのか。それらの一つ一つがジャーナリズムの課題でもあるだろうとも考えていましたが、堤さんのルポは、これらのわたしの「知りたい」に十分に応えてくれました。

 貧困が社会不安を増大させ、ひいては戦争を招く要因であること、だから平和を永続させるためには貧困の解消が必要であり、そのために労働者の地位の向上と権利の保護が必要なこと。これらは人類が戦争を繰り返す中で得てきた歴史の教訓だと、わたしは労働運動に身を置く中で考えるようになりました。言い方を変えれば、労働運動とは本来的、根源的に平和を永続させるための運動でもあるはずだと考えています。
 数ある国連機関の中で、労働者の地位向上と権利の保護を大きな目的とする国際労働機関(ILO)が生まれたのは、第一次世界大戦が終結した1919年でした。そのILOの憲章前文には次のように明記されています。

 世界の永続する平和は、社会正義を基礎としてのみ確立することができるから、
 そして、世界の平和及び協調が危くされるほど大きな社会不安を起こすような不正、困苦及び窮乏を多数の人民にもたらす労働条件が存在し、且つ、これらの労働条件を、たとえば、1日及び1週の最長労働時間の設定を含む労働時間の規制、労働力供給の調整、失業の防止、妥当な生活賃金の支給、雇用から生ずる疾病・疾患・負傷に対する労働者の保護、児童・年少者・婦人の保護、老年及び廃疾に対する給付、自国以外の国において使用される場合における労働者の利益の保護、同一価値の労働に対する同一報酬の原則の承認、結社の自由の原則の承認、職業的及び技術的教育の組織並びに他の措置によって改善することが急務であるから、
 また、いずれかの国が人道的な労働条件を採用しないことは、自国における労働条件の改善を希望する他の国の障害となるから、
 締約国は、正義及び人道の感情と世界の恒久平和を確保する希望とに促されて、且つ、この前文に掲げた目的を達成するために、次の国際労働機関憲章に同意する。


 今の日本社会の貧困が先々、わたしたちに何をもたらすのか。貧困の解消のために何が必要なのか。いずれの課題を議論するにも、まずは「今起きていること」が知られなければなりませんし、今までの例えば労働運動が貧困を生まないために、貧困の解消のために何をしてきたのかも検証が必要だと思います。堤さんのこのリポートは、ジャーナリズムと労働運動の双方にかかわってきたわたし自身にとって、大きな道しるべだと感じています。

参考 ILO駐日事務所ホームページ
 *ILO憲章の日本語訳文があります
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# by news-worker2 | 2008-04-27 02:53 | 読書
 新聞のジャーナリズムをテーマに、今月から非常勤講師として始めた明治学院大学での講義は26日が3回目になります。初回と2回目は、ガイダンス的に新聞のあれこれを話してきました。導入部の総論のつもりでしたが、取り留めのない内容になってしまったかもしれません。3回目から本論に入って、新聞のジャーナリズムの検証を進めていくつもりです。
 授業の本論では、まず戦争・軍事報道を取り上げようと思います。日本では全国紙、地方紙を問わず戦前からの歴史を持つ新聞が多いのですが、敗戦後の再出発に当たり、それぞれに戦争を止められなかった苦い経験を踏まえ、新しい民主主義社会の中での新聞の役割を確認しました。わたしなりに考えているのは、新聞の役割とは、突き詰めていくと「戦争を止める」ことに行き着く、ということです。それが実現できているかどうかは別の問題なのですが、わたし自身にとっては今でも変わらない職業上の責任だと考えています。
 新聞がいちばんこだわらなければいけないのは「表現の自由」と「知る権利」です。では、戦争になったときに「表現の自由」と「知る権利」に何が起こるのか。それは戦争になった時に起こるのか。それとも、戦争になる前から起きているのか。ささやかな個人的な経験ですが、そんなことを考えざるを得ない、わたしにとっては痛切な出来事が3年前、労働組合の専従役員だったときにありました。1945年の東京大空襲を調べていて、当時の新聞の「大本営発表」報道を目にしたことです。
 今日ならほんの少しの労力で、一夜で10万人を超える人々が死んでいったこの出来事のことを知ることができます。しかし、当時の報道はそうではありませんでした。

(1945年3月11日付朝日新聞の記事)
B29約百三十機、昨暁
帝都市街を盲爆
約五十機に損害 十五機を撃墜す
「大本営発表」(昭和二十年三月十日十二時)本三月十日零時過より二時四十分の間B29約百三十機主力を以て帝都に来襲市街地を盲爆せり
右盲爆により都内各所に火災を生じたるも宮内省主馬寮は二時三十五分其の他は八時頃迄に鎮火せり
現在迄に判明せる戦果次の如し
 撃墜 十五機 損害を与へたるもの 約五十機


 以上の見出しと「大本営発表」の本文部に続いて、おそらく朝日新聞の記者が書いたであろう記事が続きます。

(続きます)
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# by news-worker2 | 2008-04-25 00:55 | 表現の自由
d0140015_1103489.jpg 19日の土曜日は大学の授業の後、午後から憲法メディアフォーラム開設3周年の記念シンポジムに行ってきました。
 テーマは「憲法25条・生存権とメディア」。憲法25条は最近では生活保護の問題に絡めて論じられることが多いのですが、今回の集会のテーマ設定の根底には、格差と貧困の拡大が社会に何をもたらすかということと、それを報じるマスメディアのスタンスの問題があります。パネリストは現場で非正規雇用の若年労働者の権利擁護に取り組んでいる労働組合「首都圏青年ユニオン」書記長の河添誠さん、NHKスペシャル「ワーキングプア」取材班の板垣淑子さん、日本の貧困に詳しい都留文科大教授の後藤道夫さんの3人でした。
 後日、詳しいやり取りは憲法メディアフォーラムのサイトにアップされると思いますので、ここでは手元のメモをもとに簡単な紹介にとどめておきたいと思います。

 いちばん強く印象に残ったのは、河添さんの報告です。首都圏青年ユニオンは最近では牛丼チェーン「すき家」のアルバイト労働者に、未払いだった残業の割増賃金を払わせる成果を挙げたり、仙台店のアルバイトの残業代をめぐっては、経営会社の「ゼンショー」を労働基準監督署に刑事告訴したりした活動が広く知られています。
 いくつもの具体例を挙げながら河添さんが指摘したのは、ちょっとしたつまずきで転落し、困窮する人が増えていること、一度企業との間にトラブルを抱え離れてしまうと、一気に貧困に転落する、そういうケースが増えている脆弱な社会になっていることです。一方で、若年層の非正規雇用労働者の場合、使用者側に労働基準法を守らせれば大幅賃上げに相当する成果が得られる、ということも指摘しました。労働基準法以下の労働が増えており、具体的には「残業代なし」「有給休暇なし」「社会保障なし」の〝3点セット〟です。「労働問題の課題を解決することが、実は貧困解決と近い」のであり「その解決策を持っているのは労働組合しかない。労働基準監督署も当てにならない。本当に必要なのは労働組合」と河添さんは強調しました。
 マスメディアの報道についても、河添さんは「貧困問題が以前に比べて多く取り上げられるようになり、取り上げ方も深まっている」としながらも「十分に伝わっていないな、と思うのは、困窮する若者が『無権利』の状態に置かれていること。単に賃金が低いだけではなく無権利なのです」と指摘しました。
 また、一人一人のケースには、家族内の人間関係(例えば「いつまでフラフラしているのか。正業に就け」と絶えずプレッシャーを受けるうちに家に居づらくなり、ネットカフェで寝泊まりするようになる)も含めてそれぞれ複数の要素が絡み合っており、それが描き切れていないと貧困を構造的には描けないことも指摘し「意欲そのもの、働く意欲すら失っていき、一人一人がバラバラにされていく。バラバラにされた人たちの声をどうするのか」「金がある人は表現する場所がある。バラバラにされた人たちのネットワーク化が大事」と強調しました。
 河添さんが最後に訴えたのは、マスメディアの役割でした。「生活困窮者はバラバラにされて、持つことができるのは絶望と不信しかない。信頼と希望のネットワークをつくる必要がある。これまでもメディアの中の良心的な人たちに、運動の側が発信する情報を受け止めてもらったが、解決策を持っている労組それ自体がどれだけ報道で取り上げられていただろうか。たくさんの報道陣が取材に来るが、そこが越えられていない壁。本当に必要なのは労働組合。衝撃的な貧困の実例だけでなく、運動自体を報道してほしい」と強調しました。

(続きます)
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# by news-worker2 | 2008-04-21 01:25 | 憲法
 イラクでの航空自衛隊の武装兵員空輸活動を違憲、違法とした17日の名古屋高裁判決に対し、航空自衛隊トップの航空幕僚長が18日の記者会見で、現地で活動する隊員に与える影響を問われ、心境を代弁するとして「『そんなの関係ねえ』という状況だ」と答えたと報道されています。

東京新聞サイトから引用)
防衛省の田母神俊雄航空幕僚長は18日の定例会見で、航空自衛隊のイラク空輸活動を違憲とした名古屋高裁判決が現地で活動する隊員に与える影響を問われ、「純真な隊員には心を傷つけられた人もいるかもしれないが、私が心境を代弁すれば大多数は『そんなの関係ねえ』という状況だ」と発言した。

 お笑い芸人のフレーズを借りた言いようの是非はともかくとして、わたしは今年1月、海上自衛隊のインド洋給油活動再開に際して、護衛艦が横須賀基地を出航した際の指揮官の言葉を思い出しました。

サイト「憲法メディアフォーラム」のコラム「今週のひとこと」から引用)
自衛隊は何を守るのか
 「憲法違反と言われた私どもにも意地と誇りがある。わが国の信頼回復のため全力を尽くす」。1月24日、インド洋で米軍艦艇などへの洋上給油を再開する海上自衛隊部隊の護衛艦が、横須賀基地を出航。指揮官の一等海佐は、式典のあいさつでこんなことを口にした。「自衛隊は憲法違反」との指摘が今もあることへの不満か、給油打ち切りと再開をめぐる昨年来の政治のごたごたと世論が割れたことへの不満か。しかし、制服姿の自衛官の公式発言としては、「政治」に抵触していることにとどまらず、いくつもの危うさを感じる。
 専守防衛を越えて自衛隊が外国軍隊とともに作戦行動に参加することは、間接的に人命を奪う行為に加担することだ。そのことに苦慮する自衛官がいても、指揮官が「私ども」と言い切ってしまえば、彼、彼女らの良心は行き場所がなくなる。また仮に世論が割れていたとしても、自衛隊が守るべき対象は、割れた世論を抱えたそのままの姿の日本国全体であるはずだ。
 自身が口にした「わが国」のイメージを、この指揮官はどんな風に頭に描いているのかは分からない。しかし発言には、自衛隊のイラク派遣に反対した人々を「反自衛隊的」とひとくくりに敵視して監視していた陸自情報保全隊と同根の危うさがあるように思えてならない。

 当時、わたしがチェックした限りでは、在京の新聞で「憲法違反と言われた私どもにも意地と誇りがある」との発言部分を報じたのは毎日新聞だけで、ほかには共同通信が報じました。
 前回のエントリーでも触れましたが、今回の名古屋高裁判決は平和的生存権にも踏み込んだ判断を示しています。自衛官であっても日本国民である限りは憲法上の基本的な人権は守られるはずですし、内心の自由もあるはずです。航空幕僚長が「大多数は」としながらも「そんなの関係ねえ」と言いきって「心境を代弁」してしまっては、自衛官個々の良心は組織の中で担保されないことになりかねません。内心の自由は表現の自由、知る権利にも密接につながっています。この発言にも、やはりわたしは危うさを感じずにはいられません。
 内心の自由が担保されなければならないのは、どんな職業でも同じであることは言うまでもありません。
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# by news-worker2 | 2008-04-19 09:02 | 憲法
 自衛隊のイラク派遣をめぐって名古屋高裁が17日、航空自衛隊派遣部隊の活動が憲法違反とイラク復興支援特別措置法違反にあたるとの判断を示しました。裁判の結論としては、原告が求めた派遣差し止めと損害賠償のいずれも再び退けられ、国の勝訴ですが、そのことで国には上告の理由がなくなり、違憲判断を含んだ今回の判決は確定する見通しのようです。
 詳しい判断の内容は、18日付朝刊の新聞各紙におそらく掲載される判決理由の要旨を参照してもらいたいと思います。ネット上では「NPJ(News for the People in Japan)」にアップされています。
 今回の違憲判断が画期的なのか、それとも請求は退けている以上、言う必要のない余計な〝蛇足〟なのかは、人により受け止め方は異なるでしょう。わたし自身は、司法の役割をきちんと果たそうとする裁判官の誠意が読み取れる判決との感想を持っています。
 ここでは2点だけ書き記しておきますが、1点目は、航空自衛隊がバグダッドへ多国籍軍の人員・物資を空輸している活動について、判決がバグダッドを「戦闘地域」と認定し、空自の業務の不透明さを鋭く突いていることです。2年前に陸上自衛隊がイラクから撤収して以降、航空自衛隊はもっぱら米軍をはじめとする他国の軍隊の人員・物資をイラクに空輸しています。しかし日本政府はその活動内容の情報公開に極めて消極的です。空輸の回数、積み荷の総重量は公表していますが、武器弾薬の有無、武装兵士の有無については公式にはコメントしません。
 名古屋高裁での審理の経過を逐一承知しているわけではありませんが、一般論として民事訴訟は原告側が立証責任を負います。被告側から反論がなければ、原告側主張が正しいと判断することは自然です。日本政府が、積み荷の内容、武装兵士の有無を含めて情報公開しないことは、重要な後方支援として他国の武力行使と一体とみなされても仕方がない武装兵員の輸送に空自が従事していることをうかがわせる事情になりえると思います。逆に言えば、他国の武力行使とは一線を画した活動であるならば、積み荷の内訳、兵員の武装の有無を情報公開すればいいのです。
 分立している3権のうち、政府が主権者たる国民への情報公開を拒み、議会でもそれを許す議席が多数を占めている中で、残る司法が、それでいいのかと疑問を突き付けた判決。そういう風にわたしは見ています。
 2点目は、原告側の請求は退けながらも、平和的生存権の主張に対しては、単なる基本的精神や理念の表明にとどまらず、憲法の保障する基本的人権の基礎にある基底的権利との判断を明確に示していることです。前文や9条を始めとして日本国憲法は場合により、個々人の人権を守る具体的な根拠になりうる、ということです。判決は、今回の訴訟の原告はそうしたケースには該当しないと判断しました。では、どういったケースが該当するでしょうか。現にイラクに派遣されている自衛隊員たちこそ、その対象の最たる人たちだと思います。戦闘地域に行き、他国の軍隊の武力行使と一体とみなされる業務に従事する自衛隊員たちこそ、日本国民の一人として、憲法9条の名において戦争協力拒否権を行使できる。そう思います。
 この平和的生存権についての名古屋高裁判決の判断部分は読み応えがあり、繰り返し読みました。他のどんな仕事、産業であっても同じでしょう。現憲法がある限り、個人にもまた戦争協力拒否権(日本が戦争にかかわること自体が違憲なのはもちろんですが)は保障されている。わたしはそう思います。

追記(4月18日午前8時半)

 空自の空輸対象には、国連の復興支援物資も含まれており、エントリーで「もっぱら米軍をはじめとする他国の軍隊の人員・物資をイラクに空輸しています」としたのは、事実と異なりました。ただ、その内訳を政府が公式に明らかにしようとしないことには、変わりがありません。
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# by news-worker2 | 2008-04-18 03:30 | 憲法
 シンポジウムのお知らせです。

憲法メディアフォーラム開設3周年記念シンポジウム
「憲法25条・生存権とメディア」

日時 4月19日(土)13時30分~16時30分
資料代
500円
場所 KFCホール
東京都墨田区横網 1 丁目6番 1 号
<TEL> 03-5610-5801
[地下鉄] 都営地下鉄大江戸線「両国駅」A1出入口に直結
[JR]JR中央・総武線「両国駅」東口より徒歩約6分

プログラム
主催者挨拶、活動報告・サイトの歩みの報告、パネルディスカッション、会場との質疑応答
パネリスト:後藤 道夫 (都留留文科大学教授)
パネリスト:板垣 淑子氏(NHKスペシャル「ワーキングプア」取材班)
パネリスト:河添 誠 氏 (首都圏青年ユニオン書記長)
コーディネーター:丸山 重威 (関東学院大学法学部教授、日本ジャーナリスト会議運営委員)

 憲法メディアフォーラムは日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)と日本ジャーナリスト会議(JCJ)が共同で運営しているサイトです。わたしがMIC議長だった2005年4月に立ち上がりました。
 後藤道夫さんは、「ワーキングプア」などの言葉がまだそれほど知られていなかった2005年12月当時にMICの春闘討論集会に講師として来ていただきました。「貧困」が若年層を中心に深刻化しつつある、と指摘されたことが強く印象に残っています。わたし自身、「ワーキングプア」という言葉があることをこのころ知りました。
 NHKの「ワーキングプア」は多くの説明は不用かもしれません。首都圏青年ユニオンは労働組合運動のあり方を考える上で多くの示唆が得られるものと思います。
 19日は大学の授業が終わり次第、参加する予定です。
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# by news-worker2 | 2008-04-15 23:25 | 憲法

講義が始まりました

 近況です。
 先週の土曜日の4月12日、非常勤講師として明治学院大学社会学部で、新聞ジャーナリズムをテーマに週1回の講義を始めました。7月いっぱいまで計13、4回の予定です。最初に話があった際には「とてもそんな能力はない」とお断りしたのですが、話を紹介していただいた方(この方も元新聞記者で現在は大学教員です)から「『教える』は『学ぶ』に通じるのだから」と言われ、引き受けることにしました。
 「新聞ジャーナリズム」というテーマそれ自体はざっくりとしていますが、「表現の自由」と「知る権利」が今の新聞ではどのように実現されているのか(あるいは実現されていないのか)を検証することを目標にしました。人は自分と異なった意見に接し、知らなかった事実を知って、考えや意見が変わることがあります。だから「表現の自由」は憲法にも明記されているし、「知る権利」も自由な表現に接する権利としての意味でも重要だとわたしは理解しています。
 今までは、主に労働運動の場で「表現の自由」と「知る権利」について考えたり発言したりしてきました。非常勤とはいえ大学教員として恥ずかしくないだけの講義ができるか、心もとないのですが、最低限、検証可能な根拠や論拠を示すことと、わたし個人の意見や考え方の押し付けにならないようにすることを心がけて、授業を進めていくつもりです。学生がそれぞれに「表現の自由」や「知る権利」について一つでも二つでも感じ取るものが残るような講義にしたいと考えています。

 
 
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# by news-worker2 | 2008-04-13 15:17 | 非常勤講師
※2008年11月末日をもって、はてなダイアリーに引越しました

ご訪問ありがとうございます。

 【管理人自己紹介】
 美浦 克教(みうら・かつのり)
 1960年10月、福岡県北九州市生まれ、東京都在住、通信社勤務

 2004年7月から2006年7月まで日本新聞労働組合連合(新聞労連)中央執行委員長
 2004年10月から2006年9月まで日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)議長

 2008年4月から2008年9月(予定)まで明治学院大学社会学部非常勤講師

 このブログは、わたし美浦克教が、新聞産業の編集職場で働きながら、日々考えること、学んだことを発信して運営します。個人の立場での活動であり、このブログで表明する意見の内容は、特定企業や組織の見解をいかなる意味でも代弁するものではありません。

 2006年10月まで、ブログ「ニュース・ワーカー」を運営しました。その間、多くの方に訪問していただき、ありがとうございました。
 当時は会社での仕事は休職して労働組合(新聞労連)の専従役員をしていました。ブログ運営を休止した時期は、復職して職場に戻り、立場が変わったことで、同じテンションでブログを続けることに肉体的にも精神的にもつらさを感じるようになっていました。
 今、職場で働きながら、あらためて企業と、そこで生活の糧を得ている被雇用者としての自分との関係を多々、考えています。わたしなりに労働組合の活動を懸命にやってきた、この10年ほどの時間を振り返り、一つひとつの出来事について考えることも多くなりました。一方では、わたしが被雇用者として身を置く新聞産業では、企業としての新聞社も、マスメディアとしての新聞も、社会の人びととのつながりに明確なビジョンを見出せなくなっているように感じています。そのまた一方で、日々、仕事として様々なニュースに接しながら、わたしたちの社会がどんな社会になっていくのか、考え込んでしまいます。そんな毎日を過ごす中で、個人としての自分とマスメディアという仕事、あるいは社会とのかかわり、マスメディアのあり方、労働運動のあり方などを、折々文章にまとめてみたいと再び思うようになりました。

 労働組合の活動を通じて実感した言葉のひとつに「あなたは一人ではない」という言葉があります。欧米の労働運動でよく使われるスローガンだと聞きましたが、困難な状況にあっても、同じ状況にある人がほかにもいる、そういう人たちが結び付いていけば、状況を変えるのは決して不可能ではない、という意味に理解しています。このことは、労働運動に限ったことでもないと思います。
 このブログの運営では、職業人としての自分(個人の仕事や働き方)、生活人としての自分(個人の生活)、社会の一員としての自分(個人と社会)を常に考えていたいと思っています。結果として「わたしは一人ではない」との思いを一人でも多くの人と共有できれば、と願っています。

 このブログは、愛着のある「ニュース・ワーカー」(報道労働者)のタイトルは継承しますが、旧ブログとは別のブログとして運営します(わたしの個人史の記録として、旧ブログを引用することはあるかもしれません)。具体的にどんなテーマで何を書いていくかや、更新頻度も明確には決めていません。エントリーを重ねる中で、カテゴリーも整理していきたいと思います。試行錯誤の連続になると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 ネットの知識、スキルは初心者レベルです。エチケットをわきまえた運営を心がけますが、失礼の段があればご容赦ください。
 コメント、トラックバックは歓迎ですが、内容が本ブログの趣旨にそぐわないと思われるものや、社会常識から逸脱しているものに対しては返信しなかったり、管理人の判断で削除することもあります。

  個別のご連絡はkatsunori1@hotmail.comへお願いいたします。

 料理や食べることが好きです。裏ブログ「一生の食事回数には限りがある」もよろしくお願いします。

 【参考】
ニュースワーカー
新聞労連ホームページ
MICホームページ

 【追記】
*2008年5月7日
 カテゴリに「読書」を新設しました。
*2008年5月18日
 カテゴリに「表現の自由」「憲法」を新設しました。
*2008年5月26日
 カテゴリに「非常勤講師」を新設しました。
*2008年7月15日
 訪問者が5千人を超えました。エキサイトカウンターで7月14日現在5007人です。
*2008年9月6日
 ブログのデザイン(スキン)を変えました。気分転換です。
*2008年9月14日
 趣旨紹介欄の写真をわたしの顔写真にしました。関連のエントリはこちらです
*2008年9月16日
 カテゴリに「新聞・マスメディア」「労働運動」「近況・雑事」を追加しました。
*2008年10月6日
 訪問者が1万人を超えました。エキサイトカウンターで10月5日現在10115人です。
*2008年10月20日
 ブログタイトルを「ニュース・ワーカーⅡ」から変更しました。関連のエントリーはこちらです
*2008年11月9日
 はてなダイアリーへの引越し準備に入りました。関連のエントリーはこちらです。訪問者13324人をはてなのカウンターに引き継ぎます。
*2008年12月1日
 11月30日をもって更新を停止し、はてなダイアリーへの引越しを完了しました。11月30日現在の訪問者はエキサイトカウンターで14619人、はてなカウンターで13829人です。
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# by news-worker2 | 2008-04-13 00:36 | 管理人ごあいさつと自己紹介