ご訪問ありがとうございます。マスメディアの一角で働く美浦克教が「メディア」や「労働」を主なテーマに運営します。初めてお出での方はカテゴリ「管理人ごあいさつと自己紹介」をご覧ください。


by news-worker2
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

タグ:メディア ( 4 ) タグの人気記事

d0140015_0175618.jpg 弁護士の日隅一雄さんから新著の「マスコミはなぜ『マスゴミ』と呼ばれるのか」を送っていただきました。日隅さん、ありがとうございました。
 何よりも、新聞と放送の2大マスメディアで働く第一線の記者にぜひ読んでほしい1冊です。本書は「権力に縛られたメディアのシステムを俯瞰する」との副題の通り、日本の新聞ジャーナリズムと放送ジャーナリズムが実は「新聞社」や「放送局」の会社ジャーナリズムであること、「新聞社」と「放送局」の在り方を決めている要因が読者や視聴者ではなく、国家権力(総務省による直接の電波管理行政に代表される)とメディア企業の資本持ち合い(クロスオーナーシップ)と広告業界(1業種1社制の不採用)の〝3点セット〟であることを、具体的に指摘しています。
 新聞社の記者であれば、新聞販売が独禁法の適用除外となっている再販制度や特殊指定のことはある程度は知っているでしょう。しかし、免許制の放送行政で、戦後間もなくは独立行政委員会が存在していたことを知っている記者は、経済部や文化部の一部の記者を除けば、どれぐらいいるでしょうか。逆に、放送局の記者の中で、新聞の戸別配達(宅配)のことを正確に理解している記者はどれぐらいいるでしょうか。クロスオーナーシップにしても、新聞社と放送局の系列関係は知識としては知っていても、それが「表現の自由」や「知る権利」とどのような関係にあるか、常日頃から念頭においている記者はどれぐらいいるでしょうか。
 マスメディアが身上としている組織ジャーナリズムは、一方で個々の記者が細かく担当分野別に分かれて日々取材している状況でもあります。政治部でも経済部でも社会部でも、特定の記者クラブに所属し、専門分野で日々取材に明け暮れし(そこでは他社との熾烈な「抜いた」「抜かれた」の競争があります)ていると、自分たちが身を置いているメディア界の全体状況や足元全体を見回す余裕はなくなります。わたし自身がそうでした。ましてやマスメディアの在り方を、そこで働く者同士の間で考え、広く議論する機会はなかなかありません。本書は、「表現の自由」や「知る権利」の観点に照らして、新聞や放送の「会社ジャーナリズム」が構造的に抱えているもろさや危うさを描き出していると言ってよく、まずは記者の一人一人が身の回りの現状を理解し、問題点を把握するのに役立つと思います。
 本書はさらに、会社ジャーナリズムの内側、メディア企業の中の諸問題にも切り込んでいきます。とりわけ編集権の所在について、もっぱら経営者に帰するとした日本新聞協会の「編集権声明」に疑問を投げ掛けている指摘は、メディア企業とそこで働く記者個人の内心の自由との関係で重要な論点だと感じました(「編集権声明」は1948年(60年も前の声明です)当時の文言のまま今日に至っているようです。日本新聞協会のホームページの「取材と報道」のページで読むことができます)。労働組合の形骸化の指摘に対しては、計3年間の専従活動を経験したわたしとしては切なさと若干の異論もあるのですが、基本的には返す言葉がありません。
 続いて本書は1990年代末以降のメディア規制立法の動きを追い、2010年に法案提出とされる「通信と放送の融合」がはらむメディア規制、表現規制の危険性を指摘し、最後に現状の改善への展望を示しています。
 繰り返しになりますが、1人でも多くの第一線で働く記者たちに読んでほしい1冊です。経営者にも本書の指摘を真摯に受け止めてほしいことは、言うまでもありません。
[PR]
by news-worker2 | 2008-05-07 00:12 | 読書
 自衛隊のイラク派遣をめぐり、航空自衛隊の物資空輸活動に違憲判断を示した4月17日の名古屋高裁判決が5月2日午前零時をもって確定しました。「違憲」「違法(イラク復興支援特別措置法にも違反する)」との判断が確定したのに、航空自衛隊の制服トップである航空幕僚長が記者会見で「そんなの関係ねえ」と発言したことに何ら、文民である防衛大臣からも、自衛隊の最高指揮官である首相からもおとがめはなく、自衛隊の派遣部隊の活動も昨日と同じように続いていく。そのことへのわたしの個人的な意見はさておいても、現状自体は、海外から見た時には異常に見えるのではないかと思えてなりません。
 今回の訴訟は、結論が請求の却下、棄却だとしても、「今回の原告」たちの請求が認められなかった、ということであり、別の立場の原告が提訴していれば、イラクでの航空自衛隊の活動が「違憲」「違法」だという判断を前提に、派遣の差し止めをめぐって突っ込んだ判断に移ったであろうと考えることに、さほど論理の飛躍はないと思います。だから、訴えを認容するかどうか、結論を下す前提として、自衛隊の活動が合憲、適法かどうかの判断は、原告の訴えに真摯に向き合おうとするならば、名古屋高裁の裁判官たちにとっては避けては通れない判断だったのだろうとわたしは考えています。
 今回の判決に寄せられている「傍論」「蛇足判決」「不当判決」などの批判について、わたしは同意はできなくてもその発想自体は理解できなくもありません。そんな中で、5月1日の朝日新聞朝刊に掲載された元判事で弁護士の福島重雄さんの「司法は堂々と憲法判断を」と題した文章に目が釘付けになりました。詳しくは朝日新聞の紙面(ネットでは見当たらないようです)を手に取って読んでほしいのですが、ここでは訴訟の原告でもあった天木直人さんのブログの記述を引用します。

(続きます)
[PR]
by news-worker2 | 2008-05-02 00:53 | 憲法
d0140015_1103489.jpg 19日の土曜日は大学の授業の後、午後から憲法メディアフォーラム開設3周年の記念シンポジムに行ってきました。
 テーマは「憲法25条・生存権とメディア」。憲法25条は最近では生活保護の問題に絡めて論じられることが多いのですが、今回の集会のテーマ設定の根底には、格差と貧困の拡大が社会に何をもたらすかということと、それを報じるマスメディアのスタンスの問題があります。パネリストは現場で非正規雇用の若年労働者の権利擁護に取り組んでいる労働組合「首都圏青年ユニオン」書記長の河添誠さん、NHKスペシャル「ワーキングプア」取材班の板垣淑子さん、日本の貧困に詳しい都留文科大教授の後藤道夫さんの3人でした。
 後日、詳しいやり取りは憲法メディアフォーラムのサイトにアップされると思いますので、ここでは手元のメモをもとに簡単な紹介にとどめておきたいと思います。

 いちばん強く印象に残ったのは、河添さんの報告です。首都圏青年ユニオンは最近では牛丼チェーン「すき家」のアルバイト労働者に、未払いだった残業の割増賃金を払わせる成果を挙げたり、仙台店のアルバイトの残業代をめぐっては、経営会社の「ゼンショー」を労働基準監督署に刑事告訴したりした活動が広く知られています。
 いくつもの具体例を挙げながら河添さんが指摘したのは、ちょっとしたつまずきで転落し、困窮する人が増えていること、一度企業との間にトラブルを抱え離れてしまうと、一気に貧困に転落する、そういうケースが増えている脆弱な社会になっていることです。一方で、若年層の非正規雇用労働者の場合、使用者側に労働基準法を守らせれば大幅賃上げに相当する成果が得られる、ということも指摘しました。労働基準法以下の労働が増えており、具体的には「残業代なし」「有給休暇なし」「社会保障なし」の〝3点セット〟です。「労働問題の課題を解決することが、実は貧困解決と近い」のであり「その解決策を持っているのは労働組合しかない。労働基準監督署も当てにならない。本当に必要なのは労働組合」と河添さんは強調しました。
 マスメディアの報道についても、河添さんは「貧困問題が以前に比べて多く取り上げられるようになり、取り上げ方も深まっている」としながらも「十分に伝わっていないな、と思うのは、困窮する若者が『無権利』の状態に置かれていること。単に賃金が低いだけではなく無権利なのです」と指摘しました。
 また、一人一人のケースには、家族内の人間関係(例えば「いつまでフラフラしているのか。正業に就け」と絶えずプレッシャーを受けるうちに家に居づらくなり、ネットカフェで寝泊まりするようになる)も含めてそれぞれ複数の要素が絡み合っており、それが描き切れていないと貧困を構造的には描けないことも指摘し「意欲そのもの、働く意欲すら失っていき、一人一人がバラバラにされていく。バラバラにされた人たちの声をどうするのか」「金がある人は表現する場所がある。バラバラにされた人たちのネットワーク化が大事」と強調しました。
 河添さんが最後に訴えたのは、マスメディアの役割でした。「生活困窮者はバラバラにされて、持つことができるのは絶望と不信しかない。信頼と希望のネットワークをつくる必要がある。これまでもメディアの中の良心的な人たちに、運動の側が発信する情報を受け止めてもらったが、解決策を持っている労組それ自体がどれだけ報道で取り上げられていただろうか。たくさんの報道陣が取材に来るが、そこが越えられていない壁。本当に必要なのは労働組合。衝撃的な貧困の実例だけでなく、運動自体を報道してほしい」と強調しました。

(続きます)
[PR]
by news-worker2 | 2008-04-21 01:25 | 憲法
※2008年11月末日をもって、はてなダイアリーに引越しました

ご訪問ありがとうございます。

 【管理人自己紹介】
 美浦 克教(みうら・かつのり)
 1960年10月、福岡県北九州市生まれ、東京都在住、通信社勤務

 2004年7月から2006年7月まで日本新聞労働組合連合(新聞労連)中央執行委員長
 2004年10月から2006年9月まで日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)議長

 2008年4月から2008年9月(予定)まで明治学院大学社会学部非常勤講師

 このブログは、わたし美浦克教が、新聞産業の編集職場で働きながら、日々考えること、学んだことを発信して運営します。個人の立場での活動であり、このブログで表明する意見の内容は、特定企業や組織の見解をいかなる意味でも代弁するものではありません。

 2006年10月まで、ブログ「ニュース・ワーカー」を運営しました。その間、多くの方に訪問していただき、ありがとうございました。
 当時は会社での仕事は休職して労働組合(新聞労連)の専従役員をしていました。ブログ運営を休止した時期は、復職して職場に戻り、立場が変わったことで、同じテンションでブログを続けることに肉体的にも精神的にもつらさを感じるようになっていました。
 今、職場で働きながら、あらためて企業と、そこで生活の糧を得ている被雇用者としての自分との関係を多々、考えています。わたしなりに労働組合の活動を懸命にやってきた、この10年ほどの時間を振り返り、一つひとつの出来事について考えることも多くなりました。一方では、わたしが被雇用者として身を置く新聞産業では、企業としての新聞社も、マスメディアとしての新聞も、社会の人びととのつながりに明確なビジョンを見出せなくなっているように感じています。そのまた一方で、日々、仕事として様々なニュースに接しながら、わたしたちの社会がどんな社会になっていくのか、考え込んでしまいます。そんな毎日を過ごす中で、個人としての自分とマスメディアという仕事、あるいは社会とのかかわり、マスメディアのあり方、労働運動のあり方などを、折々文章にまとめてみたいと再び思うようになりました。

 労働組合の活動を通じて実感した言葉のひとつに「あなたは一人ではない」という言葉があります。欧米の労働運動でよく使われるスローガンだと聞きましたが、困難な状況にあっても、同じ状況にある人がほかにもいる、そういう人たちが結び付いていけば、状況を変えるのは決して不可能ではない、という意味に理解しています。このことは、労働運動に限ったことでもないと思います。
 このブログの運営では、職業人としての自分(個人の仕事や働き方)、生活人としての自分(個人の生活)、社会の一員としての自分(個人と社会)を常に考えていたいと思っています。結果として「わたしは一人ではない」との思いを一人でも多くの人と共有できれば、と願っています。

 このブログは、愛着のある「ニュース・ワーカー」(報道労働者)のタイトルは継承しますが、旧ブログとは別のブログとして運営します(わたしの個人史の記録として、旧ブログを引用することはあるかもしれません)。具体的にどんなテーマで何を書いていくかや、更新頻度も明確には決めていません。エントリーを重ねる中で、カテゴリーも整理していきたいと思います。試行錯誤の連続になると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 ネットの知識、スキルは初心者レベルです。エチケットをわきまえた運営を心がけますが、失礼の段があればご容赦ください。
 コメント、トラックバックは歓迎ですが、内容が本ブログの趣旨にそぐわないと思われるものや、社会常識から逸脱しているものに対しては返信しなかったり、管理人の判断で削除することもあります。

  個別のご連絡はkatsunori1@hotmail.comへお願いいたします。

 料理や食べることが好きです。裏ブログ「一生の食事回数には限りがある」もよろしくお願いします。

 【参考】
ニュースワーカー
新聞労連ホームページ
MICホームページ

 【追記】
*2008年5月7日
 カテゴリに「読書」を新設しました。
*2008年5月18日
 カテゴリに「表現の自由」「憲法」を新設しました。
*2008年5月26日
 カテゴリに「非常勤講師」を新設しました。
*2008年7月15日
 訪問者が5千人を超えました。エキサイトカウンターで7月14日現在5007人です。
*2008年9月6日
 ブログのデザイン(スキン)を変えました。気分転換です。
*2008年9月14日
 趣旨紹介欄の写真をわたしの顔写真にしました。関連のエントリはこちらです
*2008年9月16日
 カテゴリに「新聞・マスメディア」「労働運動」「近況・雑事」を追加しました。
*2008年10月6日
 訪問者が1万人を超えました。エキサイトカウンターで10月5日現在10115人です。
*2008年10月20日
 ブログタイトルを「ニュース・ワーカーⅡ」から変更しました。関連のエントリーはこちらです
*2008年11月9日
 はてなダイアリーへの引越し準備に入りました。関連のエントリーはこちらです。訪問者13324人をはてなのカウンターに引き継ぎます。
*2008年12月1日
 11月30日をもって更新を停止し、はてなダイアリーへの引越しを完了しました。11月30日現在の訪問者はエキサイトカウンターで14619人、はてなカウンターで13829人です。
[PR]
by news-worker2 | 2008-04-13 00:36 | 管理人ごあいさつと自己紹介